現在ではメジャーになった「たらこスパゲッティ」
広義では洋食ですが、狭義では「日本式イタリア料理」とでも言いましょうか、何れにせよ、とても美味しくファンの多い逸品です。
日本式スパゲッティの歴史
1953年、東京都中央区田村町にて『Hole in the wall』というパスタ専門店が開業しました。
この店の店主、成松孝安は初代CIA東京支局長、P.C.ブルームの家で執事をしていました。ブルーム邸で開催されていた『火曜会』という会合には、政財界や学会の重鎮が集まっており、成松氏は『火曜会』の外国人コックから技術を学びました。その後、ブルームの援助により、レストラン『Hole in the wall』を開業しました。
成松氏は優れたアイディアマンで「たらこ」「納豆」「うに」など、日本人の味覚に合う食材をイタリア料理の「パスタ」に合わせ、日本式パスタの数々の傑作を生み出し、全国にその名が知れる名声店となりました。
この『Hole in the wall』こそ、有名な『壁の穴』です。
イギリス料理やフランス料理が日本人の味覚に合わせて『洋食』となったのと同様、日本で入手出来る食材を用い、かつ、安価で提供出来る様、様々な工夫を施し、大衆向け「パスタ専門店」の元祖として、また「日本式パスタ料理の生みの親」として、日本の食文化に多大なる影響を与えました。
因みに、店名の「Hole in the wall」は、シェイクスピアの戯曲「真夏の夜の夢」に出てくる言葉「ホール・イン・ザ・ウォール(壁の穴)」からとったものだそうです。
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